政府は「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業の規制に向け、「公正な取引環境の確保」「個人情報保護」「デジタル課税」という3つの視点から検討に入った。公正な取引環境の確保に向けては独占禁止法を補完する新法を検討するほか、個人情報保護法も改正。さらに適正な課税に向け国際ルールも策定する。3つの方向からルールを定めることで、規制に実効性を持たせる狙いだ。(大柳聡庸)
「一方的にプラットフォーマーに有利な契約になっている」「突然、アカウントを閉鎖された」…。
経済産業省や公正取引委員会などが昨年11月から12月に実施した意見募集では、巨大ITと取引のある事業者から、こんな不満の声が多く寄せられた。
政府が規制対象として念頭に置くのは、社名の頭文字をとって、「GAFA(ガーファ)」と呼ばれているグーグルやアップル、フェイスブック、アマゾン・コムの米巨大ITが中心だ。こうした巨大ITのシェアが高いインターネット通販では、出店者は巨大ITのサービスを使わざるを得ないのが実情。政府はこうした「力関係の差」が、不公正な取引の温床になりかねないとみている。
不公正な取引に関して、政府は独禁法の「優越的地位の乱用」を適用する方針だ。さらに独禁法を補完するため、取引条件の開示を義務付ける新法もつくる方向で検討。今夏に具体策をまとめる。
巨大ITはネット検索や会員制交流サイト(SNS)で検索履歴などの個人情報を集め、特定の個人を狙った広告サービスなどを展開し収益を上げている。政府は、こうした個人情報の収集にも「優越的地位の乱用が適用できる」(公取委幹部)として、個人消費者とのやり取りにも規制の網をかける構えだ。
また、巨大ITが収集する個人情報について、広告などへの利用停止を個人が求めた場合、応じるよう義務付ける「利用停止権」も新設する。来年の通常国会に、個人情報保護法の改正案を提出する方向だ。また、個人情報の漏洩などに罰金引き上げを検討する。
課税ルールも見直す。巨大ITはネットを通じ国境を越えて事業を展開するが、各国に支店や工場がなくてもビジネス展開できるため、既存の法人税ルールでは対応できないからだ。
麻生太郎財務相は昨年12月、アルゼンチンでの20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)終了後の記者会見で、「デジタル化に伴う課税原則の見直し議論とともに、租税回避・脱税への対応に取り組む」と述べ、デジタル課税のルール作りに意欲を示した。
6月に大阪で開かれるG20首脳会議でも議論される見通しで、G20は2020年までのルール確立を目指している。具体的にはブランド力といった無形資産から生じる利益に課税する案などが検討されている。
巨大ITはネット通販や検索サイト、SNSなどを通じ、取引先や消費者に利便性を提供してきた。自動運転といった技術革新を進める上で、今後も巨大ITの果たす役割は小さくない。規制に向けては技術革新や有望市場の成長に支障をきたさないという視点も欠かせない。
https://news.nifty.com/article/domestic/government/12274-261490/
2019-04-28 14:50:00Z
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